副題:腰が丸まる・股関節がつまる・座るのがつらい方へ
「昔は、もっと自然に座れていた気がするのに…」
あぐらをかくと、腰が丸まってしまったり、股関節がつまったり。
「なんとなく落ち着かない」「長く座っていられない」と感じる場面が、少しずつ増えていませんか?
年齢とともに、体の変化を感じ始める50代。
その変化を、ただの“衰え”として片づけるのではなく、
「これからの体とのつき合い方を見直すタイミング」ととらえてみませんか?
マミヨガでは、あぐらの姿勢に表れる“骨盤と股関節の使い方”を丁寧に整えることで、
呼吸のしやすさや座る心地よさまで、少しずつ変わっていく様子を多くの方と一緒に見てきました。
このブログでは、「あぐらがかけない」悩みの背景をひもときながら、
50代からでも安心して実践できる、やさしいヨガのステップをご紹介していきます。
📝 目次
- はじめに|「あぐらがつらい」と感じ始めたあなたへ
- 「あぐらがかけない」人に多い姿勢と体の特徴
- 骨盤・股関節・内転筋・もも裏の関係
- 骨盤を立てる感覚を育てるステップ
- マミヨガ式ステップ|椅子→ブロック→床へ
- 正座・あぐら・椅子──自分に合った座り方を選ぶ
- あぐらと前屈の意外なつながり
- まとめ|“座れる体”を育てることは、自分を大切にすること
1. はじめに|「あぐらがつらい」と感じ始めたあなたへ
床に座ると、腰が丸まってしまう。 股関節がつまるような感覚があって、なんとなく落ち着かない。
昔はもっと自然にあぐらをかいていたのに、 最近では長く座っていると疲れてしまう。
そんなふうに感じている方はいませんか?
特に、50代を過ぎると体の柔軟性や筋力が変化し、 これまで当たり前にできていた動作が、少しずつ難しくなることがあります。
でもそれは、決して「老化」のせいだけではありません。
本記事では、“あぐらがかけない”と感じる原因を紐解きながら、 骨盤や股関節を整えていくための具体的なステップをご紹介していきます。
正しく体を使えば、50代からでも“座るのが心地いい”に変えていくことは可能です。

2. 「あぐらがかけない」人に多い姿勢と体の特徴
「床に座ると、腰が丸まって落ち着かない」 「股関節がつまる感じがして、あぐらがつらい」 そんな声を、マミヨガのレッスンでもよく耳にします。
実は私がレッスンを始めた当初も、 「こんなふうに腰が丸くなってしまうのは私だけ?」と、不安そうに話される方がたくさんいらっしゃいました。 あぐらが苦手というのは、特別なことではなくて、多くの方が感じていることなんだなと実感しています。
あぐらがかけない、と感じるとき。 体では、こんなことが起きているかもしれません。
- 骨盤が後ろに倒れて、腰や背中が丸まってしまう
- 股関節がつまるように感じて、外に開きにくい
- 左右のバランスがとれず、片膝だけ浮いてしまう
- お尻が不安定で、どこに体重を乗せればいいかわからない
- 背中を丸めたまま呼吸が浅くなり、落ち着かない
これは、決して「体が硬いから」「年齢のせいだから」だけではなく、 普段の姿勢や、体の使い方のクセが積み重なっているサインでもあると私は思っています。
私たちの体は、長年の生活の中で、無意識に“楽な姿勢”を選びます。 でも、その楽な姿勢が、じつは骨盤を後ろに倒し、 本来の安定を失わせていることもあるのです。
「あぐらがかけない」という感覚は、 体の土台である骨盤や股関節からの、小さなサインかもしれません。
次の章では、あぐらと関係の深い骨盤や股関節、 そのまわりの筋肉とのつながりについて見ていきます。 もう少し詳しく見ていきましょう。
3. 骨盤・股関節・内転筋・もも裏の関係
あぐらの姿勢って、ただ脚を交差して座るだけのように見えますが、 実はたくさんの関節や筋肉が関わっているんです。
マミヨガでも、「脚が開かないんです」「膝が浮いてしまうんです」というお悩みをよく伺います。 そうしたお話を聞くたびに、「あぐらって全身でつくっていくものなんだな」と改めて感じます。
ここでは、あぐらに関係の深い場所をいくつか紹介しますね。
- 骨盤(特に坐骨):体の土台。ここが安定すると上半身もラクに座れます
- 股関節:脚を外に開く柔軟性と、安定して支える力の両方が大切です
- 内転筋(内もも):脚を内側に寄せる働きで、膝が浮きすぎるのを防ぎます
- もも裏(ハムストリング):ここが硬いと骨盤が後ろに倒れやすくなります
特に大きなポイントは、“骨盤が立っているかどうか”。
骨盤が後ろに倒れてしまうと、股関節も詰まりやすくなり、 膝が大きく浮いたり、お尻が不安定になったりと、あぐらの姿勢がどんどんつらくなってしまいます。
「股関節が固いのが原因だと思ってました」と言われる方も多いですが、 実は、骨盤の傾きやお尻の使い方が整ってくると、 不思議と足もスッと開きやすくなってくることがあるんです。
体はつながっています。 ひとつひとつの筋肉や関節に丁寧に目を向けながら、 “座る”という動作を、あらためて見直してみましょう。
次は、その“骨盤を立てる”感覚を育てるための方法をご紹介していきます。
4. 骨盤を立てる感覚を育てるステップ
「骨盤を立てる」とは、坐骨が真下に向かって安定している状態です。 でも、この感覚は日常生活ではあまり意識することがなく、 多くの方にとっては“なんとなく分かりづらい”ものでもあります。
そこで、以下の方法で骨盤の立て方を感覚的に身につけていきましょう。
◎ ステップ1|椅子で坐骨を感じる
- 椅子に浅く腰掛けて、両手でお尻の下を触り、坐骨を探してみる
- 坐骨が椅子にトンと当たる感覚があればOK
- そのまま背筋を伸ばすと、骨盤が立ちやすくなる
◎ ステップ2|下腹を軽く引き入れる
- 胸を張りすぎると反り腰になるため注意
- 下腹(おへその下)を軽く引き入れることで、背骨が自然に伸びる
◎ ステップ3|背骨を“下から積み上げる”意識
- 骨盤→背骨→頭と、まっすぐに積み木を重ねるような感覚で
- 肩の力は抜き、自然な呼吸を大切に
このステップを繰り返すことで、床でも骨盤を立てやすくなっていきます。

5. マミヨガ式ステップ|椅子→ブロック→床へ
骨盤を立てる感覚を少しずつ育てていくために、 マミヨガでは“3つのステップ”をおすすめしています。
いきなり床に座って「あぐらを快適に」というのは、 実はなかなか難しいこと。 だからこそ、椅子→ブロック→床という流れで、 少しずつ体を慣らしていくことを大切にしています。
ステップ1|椅子で骨盤の土台をつくる
まずは椅子に浅く座って、坐骨で座る練習から。 このとき、足の裏がしっかりと床についていることがポイントです。
足裏で床を軽く押し、そのまま自分の方へ引き込むようなイメージを持ってみてください。 すると、足の付け根(股関節)に少し“つまる”ような感覚が出てくると思います。
それと同時に、下腹に力が入り、 お尻で座面を押すようにすると、体がふわっと引き上がってくる感覚が生まれます。
この動きの連動が、骨盤を自然に立ち上がらせてくれるサポートになるんです。
座っているだけなのに、お腹とお尻、脚の力がちゃんと働いている。 そんな“土台の感覚”を椅子で育てていきます。
ステップ2|クッションやブロックの上に座る
次に、床に座る前段階として、 お尻の下にヨガブロックやクッションを敷いて高さを出します。
高さがあることで骨盤が立ちやすくなり、 坐骨も感じやすくなるので、背筋も自然と伸びていきます。
このときも、足の裏や足首まわりはリラックスさせながら、 背骨をスーッと引き上げる感覚を保ってみましょう。
ステップ3|床で無理なくあぐらへ
ここまでの感覚がつかめてきたら、 いよいよ床でのあぐらにチャレンジしていきましょう。
無理にベタッと足を開こうとする必要はありません。 膝が浮いてしまう場合は、足の下にクッションやタオルを入れてあげてください。
大事なのは、「気持ちよく呼吸ができる」こと。 骨盤が立ち、呼吸が通る感覚があるなら、それが“今のベストなあぐら”です。
あぐらをゴールにするのではなく、 その姿勢の中で体の土台や安定感を育てていくこと。 それが、マミヨガの考える“座る力”の練習なんです。
6. 正座・あぐら・椅子──自分に合った座り方を選ぶ
ここまで、あぐらがかけない理由や、骨盤を立てる感覚を育てる方法についてお話してきました。
でも実は、あぐらが苦手なときに「無理にあぐらをかく」必要はないんです。
体の状態や生活習慣は人それぞれ。 だからこそ、今の自分にとって心地よい“座り方”を選ぶことが大切だとは思っています。
◎ 正座|骨盤が立ちやすく、初心者にもおすすめ
足の裏を合わせて座るのが難しい方は、正座から始めてみましょう。
正座は、自然と骨盤が立ちやすい姿勢でもあります。 膝や足首に違和感がある場合は、膝の下にクッションやヨガブロックを入れるとラクになります。
腰を反らさず、胸を張りすぎず、 “背中がふわっと伸びて、呼吸が入りやすい”と感じたら、それが合っているサインです。
◎ あぐら|クッションやブロックを使ってサポートを
あぐらをかくときは、お尻の下にクッションやブロックを入れて高さを出すのがポイント。
高さがあることで骨盤が立ちやすくなり、背中も伸ばしやすくなります。
膝が浮く場合は、膝の下にタオルなどを入れてあげると安心感が増します。
「床に座ると疲れる」「背中がつらい」と感じる方は、 無理せず補助具を活用してくださいね。
◎ 椅子坐|どんな方にも優しい座り方
「椅子に座るのは身体によくない」 そんなふうに言われることもありますが、 座り方や時間の使い方を工夫すれば、椅子はとても頼もしい存在です。
特に、骨盤を立てる感覚を育てたいときや、 身体を無理なくストレッチしたいときには、椅子ヨガはとても有効です。
日々のレッスンやオンラインのクラスで椅子を活用し、 「床に座らなくても、こんなに体が整うんですね」と驚かれる方が多くいらっしゃいます。
椅子に座って行うヨガや呼吸の練習は、人気の方法です。
骨盤が安定しやすく、足裏が床についているので、体の軸も感じやすくなります。
あぐらや正座が難しい日も、 椅子にしっかり座ることで「座る感覚」は十分に育てていけます。
そのときはぜひ、 「足裏で床を押して、お尻で椅子を支える」 そんなイメージを持ってみてください。
どんな座り方にも共通するのは、 “自分の体と呼吸が自然に通ること”です。
形にとらわれず、今日の自分にとって心地よい座り方を選んでみてくださいね。
7. あぐらと前屈の意外なつながり
実は、あぐらが楽にかけるようになると、 前屈の動きもとてもスムーズになっていきます。
骨盤が立って股関節がしっかりと動くようになると、 前屈の“折りたたむ動き”が自然に深まっていくんです。
前回のブログでは「前屈と心のつながり」についてお話しましたが、 今回は“体のしくみ”の視点から、あぐらとの関係を見ていきましょう。
あぐらがつらいと感じる方は、 股関節の外に開く動きや、骨盤の立ちにくさを抱えていることが多いです。
そして前屈もまた、股関節からしっかり折りたためないと、 腰や背中を丸めてしまい、「背中で倒れる」ような形になってしまいます。
でも、あぐらで骨盤を立てて座れるようになってくると、 その安定した骨盤の感覚を前屈にも活かせるようになります。
前屈では「おへそを太ももに近づける」ように意識してみましょう。 このとき、背中を丸めずに股関節から折りたたむイメージを持つと、 あぐらで育てた“骨盤の立ち”が活きてきます。
つまり、あぐらも前屈も、どちらも「骨盤から始まる動き」なんですね。
こうしてつながりを知っておくと、 レッスンや日々の練習でも「体のどこを意識したらいいか」が見えてきます。
「前屈が深まらない」と感じている方は、 まずは“あぐらで骨盤を立てる”感覚を育ててみるのも、ひとつの近道かもしれません。
8. まとめ|“座れる体”を育てることは、自分を大切にすること
あぐらがかけない。 それは、単に“脚を組めない”ということではなく、 骨盤や股関節、そして日々の体の使い方にそっと気づくきっかけなのかもしれません。
今回のブログでは、あぐらにまつわる不安や違和感の背景にあるものを、 少しずつ、丁寧にほどいてきました。
マミヨガではただポーズを取ることよりも、 「どう動くか」「どこを意識するか」をとても大切にしています。
股関節がつまるような感覚、坐骨で床をとらえる感覚、 足裏で床を押すことで体がふわっと引き上がるような感覚。
それらを“体で感じながら”育てていくことで、 呼吸が通りやすくなり、姿勢がラクになり、 そして何より「自分の体と向き合う時間」が心地よくなっていきます。
あぐらが少しラクになったとき。 それは、体の使い方を見直してきた時間が、 自分自身へのやさしさとして返ってくる瞬間でもあります。
ただし、あぐらの姿勢を長く続けることで、 股関節まわりに負担がかかってしまうこともあります。
「開く」動きと同じくらい、 「閉じる」動きも大切にしています。
脚を広げた後には、自然と内ももを寄せてみる。 外に開いた股関節を、一度真ん中に戻して整えてみる。
そんなふうに、まんべんなく動かしていくことが、 体へのやさしさにつながると私は感じています。
年齢や柔軟性ではなく、 “今の自分に合った動き方”を知ること。
それが、これから先もずっと、 自分の体と仲良く過ごしていくヒントになると私は思っています。
座ることは、暮らしの中のほんの一場面。 でもその中には、たくさんの“気づき”が詰まっています。
どうぞ、ご自身の体の声にやさしく耳を傾けながら、 これからも、自分にとって心地よい動きを育てていきましょう。
マミヨガは、そんなみなさんの歩みを、これからもそっと応援しています🌿